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屋根と瓦のエトセトラ


日本家屋の屋根の棟端に、いかつい顔でどっしりと据えられている瓦製の鬼面。
かなり風変わりな置物ですよね。まずは鬼瓦について知っていただくこと、ここから始めましょう。

屋根と瓦のエトセトラ

江戸時代に急増した瓦需要

日本家屋の屋根と言えば、一般的に思い浮かべられるのは『瓦』。 今では私たち日本人の暮らしにすっかりとけ込んだ『瓦』ですが、庶民に屋根材として使われるようになったのは、 実は江戸時代からのことです。それ以前は、住居の多くは茅葺き(かやぶき)・板葺き(いたぶき)でした。耐水、耐火、耐寒、吸音、安全、耐力、耐久、美観など、 その性能の高さは知られつつも、当時「瓦」は高価な屋根材として、一部の社寺仏閣などに使用される贅沢品として扱われていたようです。
瓦が屋根材として一般に広く使われるようになったのは、江戸幕府が火事などの防災のため瓦葺きを奨励してから以降のこと。 今日のような日本家屋の原型がこの時代に生まれました。

日本の風土・土壌に適した屋根材「瓦」

四季のある日本において湿度の調節は、太古の昔から「快適な住まいづくり」のための必要条件でした。 自然の風を採り入れて湿気を逃がす、いわば「家に息をさせる」構造が従来から日本建築の様式に採り入れられてきました。
日本家屋にとって屋根は大きな換気口であり、屋根材は湿度を調整するフィルター、断熱材としての役割を担っているのです。 その屋根材の素材として、耐水、耐火、耐寒、吸音、安全、耐力、耐久、美観などで、もっとも性能が優れているのが『瓦』であると、 私たちの先祖は経験的な生活の知恵から会得していたのでしょう。

風土環境で地域性がでる屋根瓦

瓦は使用される地域で形も素材も異なります。これは瓦という屋根材料が、昔からいわゆる地場産業としてその地に根差して造られてきたことに深い関係があります。
現代でこそ、生産地を離れた地域で施工されることも多くなっていますが、もともと瓦師はその土地の土で、環境風土に最も適合した瓦を生産してきましたし、 葺師はその瓦を使って素晴らしい屋根並みを葺き上げてきました。例えば、沖縄では台風などの暴風雨から瓦が飛んだり、雨水が浸入してくるのを防ぐために、 瓦を白漆喰で塗りこめ固定していますし、福井や新潟など日本海に面した地域では、ロープや網をかけ、強い海風に瓦が吹き飛ばされないような施工技術を駆使しています。 そこには長年その土地の風土と共に生きてきた人々の生活の知恵が反映されているのです。

いま見直される屋根瓦

美観という立場で屋根を考えてみましょう。現在、町並み保存についての関心は高く、個人の居宅であっても住居の新築に際し、 町の景観のひとつとして条例の規制を受けることがあります。
美しい「家並み」(やなみ:家の並び方)を作るためには、美しく凛とした屋根を葺くことが重要となりますし、 当然それに応えられる屋根材料が必要となってきます。 瓦屋根の重量感は何とも言えない美しさがあり、手入れ、補修を適切に行えば、かなり長持ちします。
環境への配慮だけでなく、品質も良く、湿気のこもらない健康で快適な暮らしのためも、いま『瓦』が見直されています。

屋根にはやっぱり鬼瓦

町を歩いていて、美しいと感じる瓦屋根には、よく鬼瓦が飾られていませんか。 鬼瓦は意匠としての飾り屋根ですが、私たち日本人は、鬼瓦を一家の守り神としてさまざまな願いを託して屋根の棟端に置いています。
最近では住宅の洋風化やシンプル化に対応したデザインも作られており、和風建築以外でも用いられるようになりました。 屋根の素材や流行が変わっても、屋根に馴染んだ鬼(鬼瓦)を見つけると、そこに住む人たちの個性があらわれているようで嬉しくなります。

参考文献:屋根の知識 日本屋根経済新聞社、高浜市観光案内資料



 
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